「桃まつり」で高評価だった瑞々しい青春映画the place namedしか見ていない人は驚くかもしれない。oldmaidは凶暴ささえ感じられる青春犯罪活劇だ(そういう区分を作者は好まないと思うが。女王のような少女に支配された若者たちが秘密のアジトを駆け回る場面のドタバタの音響は滅多にないスペクタクルだ)。どちらも生者の世界と死者の世界を貫通させようとしている、または同時に存在させようとしているかのような独自の世界を描き出しながら、そこにいる女性たちにはチャーミングな存在感がある。

 『振袖俠女』では生者と死者が(そして夢と現実が)同等に存在している。前作『マルクス四谷怪談の巻』では描かれなかった領域だ。虚構のはずなのに、あり得そうな気がする。外的な現実としてではなく、内的な事実としてリアルなのだ。死者と人間の男女との「交情」のリアルな色っぽさはこの映画の見せ場のひとつだ。

 こういう世界は現代の映画ではなかなか目にしない。標準的な映画世界のイメージからはかけ離れている。だからこそ、こういう映画を見たいと思っている人たちも少なからず存在するはずだ。3本とも、ぜひ見てもらいたい。